「ギターを弾きながら歌ってみたい」「あの曲を自分の手で演奏できたら最高だな」──そんな夢を描いてギターに興味を持ったものの、「独学で本当に弾けるようになるの?」「やっぱり教室に通わないとダメかな」と迷っていませんか?
安心してください。ギターは独学でも十分に弾けるようになります。
挫折してしまう人の多くは、才能がなかったわけではありません。単純に「どこを目指して」「どんな順番で」「何を練習すればいいか」という道筋が見えないまま、なんとなく始めてしまっただけなのです。
この記事では、完全な初心者がギターを手に取ってから1曲弾けるようになるまでの道のりを、できるだけ具体的にお伝えします。ギター選びのポイントから、多くの人がつまずくFコードやBコードの攻略法、練習のモチベーションを保つコツまで、独学に必要な情報をすべて詰め込みました。
読み終わる頃には、「これなら自分にもできそう」と思えるはずです。さっそく見ていきましょう。
独学でギターを始める前に知っておきたいこと
まずは独学という選択肢について、メリットとデメリットの両面から整理しておきましょう。良い面だけでなく、つまずきやすいポイントも事前に把握しておくことで、対策を立てやすくなります。
独学ならではの強み
独学の最大のメリットは、なんといっても自由度の高さです。教室に通う場合、レッスン日時が決まっていて、カリキュラムに沿って進める必要があります。でも独学なら、自分の好きなタイミングで、好きなだけ練習できます。
コスト面でも大きなアドバンテージがあります。ギター教室の月謝は一般的に8,000円~15,000円程度。入会金や教材費を含めると、1年間で10万円以上かかることも珍しくありません。独学であれば、最初にギター本体と必要なアクセサリーを揃えるだけでスタートできるので、初期費用を大幅に抑えられます。
また、自分のペースで進められるのも魅力です。「今日は仕事で疲れたから軽めに」「休みの日だから2時間みっちり」といった調整が自由自在。誰かと進度を比べる必要もないので、焦らずじっくり取り組めます。
独学で気をつけたいポイント
一方で、独学には注意すべき点もあります。
まず、変な癖がつきやすいということ。正しいフォームを知らないまま練習を続けると、非効率な押さえ方や弾き方が身についてしまうことがあります。一度癖になると修正するのに時間がかかるので、最初から正しいフォームを意識することが大切です。
次に、モチベーションの維持が難しいという点。上達が感じられない時期や、難しいコードでつまずいた時、一人で乗り越えるのは想像以上にしんどいものです。教室であれば先生や仲間が励ましてくれますが、独学だと自分で気持ちを立て直す必要があります。
そして、疑問をすぐに解決できないというデメリットも。「この音がどうしても鳴らない」「この記号の意味がわからない」といった小さな疑問が積み重なると、練習そのものが億劫になってしまいます。
ただ、これらの問題は対策次第で十分に克服できます。この記事の後半では、それぞれの解決策も紹介していくので、心配しすぎる必要はありません。
ギター選びの基本|アコギとエレキ、どっちを選ぶ?
ギターを始めるにあたって、最初に決めなければならないのが「アコースティックギター(アコギ)にするか、エレキギターにするか」という問題です。どちらにもそれぞれの良さがあるので、自分がやりたい音楽や練習環境に合わせて選びましょう。
アコースティックギターの特徴
アコギは、本体だけで音が出せるのが最大の魅力です。アンプやケーブルといった周辺機器が不要なので、思い立ったらすぐに弾き始められます。持ち運びも比較的簡単で、公園やキャンプ場など、電源のない場所でも演奏を楽しめます。
弾き語りをやりたい人には、アコギが断然おすすめです。ボディの響きを活かした温かみのある音色は、歌との相性が抜群。ポップスやフォークソングを弾きたいなら、まずアコギから始めるのが王道と言えるでしょう。
ただし、弦がエレキより太くて張りが強いため、最初のうちは指が痛くなりやすいです。これは避けて通れない道なのですが、裏を返せば、アコギで指を鍛えておけば、後からエレキに持ち替えた時にとても楽に感じられるというメリットでもあります。
エレキギターの特徴
エレキは、アンプに繋いで音を増幅するタイプのギターです。アンプなしでも一応音は出ますが、かなり小さな音なので、本来の演奏を楽しむにはアンプが必要になります。
弦がアコギより細くて柔らかいため、少ない力で押さえられるのが初心者にとっての利点です。指の痛みが気になる人や、とにかく早く曲を弾きたい人には向いているかもしれません。
また、アンプやエフェクターを使うことで、クリーンな音から歪んだロックサウンドまで、多彩な音色を作り出せるのもエレキならではの楽しみです。バンドを組みたい、ロックやメタルをやりたいという人はエレキ一択でしょう。
一方で、ギター本体以外にアンプやシールド(接続ケーブル)などの機材が必要になるため、初期費用がやや高くなる傾向があります。
初心者におすすめのギターブランドとモデル
「結局どれを買えばいいの?」という疑問に、もう少し具体的にお答えします。価格帯としては3万円~5万円程度のモデルを選ぶのがおすすめです。あまりに安いものは弾きにくく、挫折の原因になりやすいからです。
アコギであれば、YAMAHAのFGシリーズは定番中の定番。FG800やFG820あたりは、この価格帯とは思えないほど音のバランスが良く、初心者から上級者まで幅広く支持されています。同じくYAMAHAのFSシリーズは、ボディが少し小さめで抱えやすいので、体格が小さめの人や女性にも人気です。
他にも、Epiphoneのアコギは見た目のカッコよさと品質のバランスが良く、Morrisは国産ブランドならではの丁寧な作りで信頼性があります。
エレキの場合は、Squier(スクワイヤー)のStratocasterやTelecasterが入門機として非常に優秀です。SquierはFenderの廉価版ブランドで、本家Fenderのデザインと操作感をリーズナブルな価格で体験できます。
Epiphoneも人気があり、Les Paulタイプのギターは厚みのあるサウンドが魅力。太くて存在感のある音を出したい人におすすめです。YAMAHAのPacificaシリーズも、初心者向けながらオールラウンドに使えるモデルとして評価が高いです。
ギターと一緒に揃えておきたいアイテム
ギター本体を手に入れたら、練習に必要なアクセサリーも揃えましょう。最低限これだけあれば、すぐに練習を始められます。
チューナー(必須)
ギターは演奏前に必ず「チューニング」という作業が必要です。6本の弦それぞれを正しい音程に合わせることで、初めてきれいな和音が鳴るようになります。チューニングがずれた状態で練習しても、上達どころか悪い音感が身についてしまう恐れがあるので、練習前のチューニングは習慣にしてください。
チューナーには様々なタイプがありますが、ギターのヘッド部分に挟んで使う「クリップチューナー」が手軽で便利です。KORGやBOSSのクリップチューナーは1,000円~2,000円程度で購入でき、精度も十分。最近はスマートフォンの無料アプリでも高精度なチューニングができるので、まずはアプリから試してみるのも良いでしょう。
ピック(必須)
弦を弾くための小さなプラスチック片です。形や硬さに様々な種類があり、好みは人それぞれですが、最初は「ティアドロップ型」か「おにぎり型」の「ミディアム(Medium)」という硬さを選んでおけば間違いありません。
ピックは消耗品で、練習中になくしやすいアイテムでもあるので、最初から5~10枚程度まとめ買いしておくと安心です。1枚100円前後なので、それほど負担にはなりません。
カポタスト
「カポ」と呼ばれることが多いこの道具は、ギターのネックに装着して弦を押さえ、実質的にキー(音の高さ)を変えることができるアイテムです。
難しいコードを簡単な押さえ方に変換したり、原曲のキーを自分の声の高さに合わせたりするのに使います。最初のうちは必要性を感じないかもしれませんが、弾ける曲のバリエーションが一気に広がるので、早めに入手しておくことをおすすめします。価格は1,000円~3,000円程度です。
ギタースタンド
意外と見落としがちですが、練習を習慣化するうえで非常に重要なアイテムです。
ギターをケースにしまい込んでしまうと、練習するたびに「ケースから出す」という小さなハードルが生まれます。これが地味に面倒で、「今日はいいか」とサボる原因になりがちです。
ギタースタンドに立てて部屋に置いておけば、ふと弾きたくなった時にサッと手に取れます。この「いつでも弾ける状態」を作っておくことが、継続のカギです。1,000円程度で購入できるので、必ず用意しましょう。
練習環境を整える|騒音対策と練習時間の工夫
ギターを始めるにあたって、意外と悩ましいのが「いつ、どこで練習するか」という問題です。特に集合住宅にお住まいの方は、近隣への騒音が気になることでしょう。ここでは、環境に配慮しながら効果的に練習するためのヒントをお伝えします。
アコギの騒音対策
アコギはそのままでもそれなりの音量が出るため、夜間や早朝の練習には工夫が必要です。
手軽な対策として、「サウンドホールカバー」があります。ギターのボディ中央にある穴(サウンドホール)をカバーで塞ぐことで、音量をある程度抑えられます。完全な防音にはなりませんが、体感で2~3割ほど音が小さくなります。
もう少し本格的に音量を下げたい場合は、「サイレントピック」という選択肢もあります。これはピック自体に細かな穴が開いていたり、素材が柔らかかったりして、弦を弾いた時の音量が抑えられる設計になっています。
また、最近は「サイレントギター」というジャンルの製品も増えてきました。YAMAHAのSLGシリーズなどは、ボディの響きを最小限に抑えた構造で、ヘッドフォンを使えば周囲にほとんど音を漏らさずに練習できます。価格は5万円~10万円程度とやや高めですが、夜間練習が中心になりそうな人には検討の価値があります。
エレキの場合はどうする?
エレキギターは、アンプに繋がなければかなり小さな音しか出ません。そのため、深夜でも「生音」で練習することは可能です。
ただ、それだと本来のエレキサウンドを楽しめないので、ヘッドフォン端子付きのアンプを使うのがおすすめです。小型の練習用アンプには、ヘッドフォンを挿すと本体スピーカーから音が出なくなる機能がついているものが多くあります。これを使えば、夜中でも思う存分エレキサウンドを堪能できます。
VOXのamPlugシリーズは、ギターに直接挿せる超小型のヘッドフォンアンプで、場所も取らず手軽に使えるので人気があります。
練習時間の確保について
「仕事が忙しくてなかなか練習時間が取れない」という声をよく聞きます。でも、上達に必要なのは「長時間の練習」よりも「毎日触ること」です。
1日5分でも10分でも、毎日ギターに触る習慣をつけることが大切です。平日は短時間でもいいので毎日触り、週末に時間が取れる時にまとめて練習する、というスタイルでも十分に上達できます。
おすすめは、毎日のルーティンに組み込むこと。たとえば「朝、歯を磨いた後に5分だけ」「夕食後、テレビを見る前に10分」といった具合に、既存の習慣にくっつける形で練習時間を設けると、自然と継続しやすくなります。
ギター独学の5ステップ|ゼロから1曲弾けるようになるまで
いよいよ実践編です。ギターを手に入れたら、以下のステップに沿って練習を進めていきましょう。焦らず、一つずつクリアしていくことが上達への近道です。
ステップ1:正しい姿勢とチューニングを覚える
まずは基本的な構え方から。椅子に座った状態で、右利きの人は右足の太ももの上にギターのくびれ部分を乗せます。背筋を伸ばし、少しだけギターのヘッド(先端部分)が上を向くように傾けると、左手が動きやすくなります。
ピックは親指と人差し指で軽くつまむように持ちます。力を入れすぎると手が疲れやすくなるので、ピックが抜けない程度の力加減を見つけてください。
構えができたら、チューニングです。6弦(一番太い弦)から順番に「ミ(E)→ラ(A)→レ(D)→ソ(G)→シ(B)→ミ(E)」と合わせていきます。この「EADGBE」という並びは、ギタリストなら誰でも知っている共通言語のようなもの。最初は覚えられなくても、毎日チューニングをしていれば自然と身につきます。
ステップ2:基本の3コードをマスターする
ギターにはたくさんのコード(和音)がありますが、いきなり全部覚える必要はありません。まずは「C(シー)」「G(ジー)」「Am(エーマイナー)」の3つだけを徹底的に練習しましょう。この3つは、J-POPをはじめとする多くの曲で使われる超頻出コードです。
Cコードは、薬指で5弦の3フレット、中指で4弦の2フレット、人差し指で2弦の1フレットを押さえます。
Gコードは、中指で6弦の3フレット、人差し指で5弦の2フレット、薬指で1弦の3フレットを押さえます。
Amコードは、中指で4弦の2フレット、薬指で3弦の2フレット、人差し指で2弦の1フレットを押さえます。
最初は指が思うように動かず、音が「ビビビ」と詰まったり、「ポコッ」とミュートされたりするはずです。それで全く問題ありません。一本ずつ弦を弾いてみて、どの指が原因で音が出ていないのかを確認しながら、少しずつフォームを調整していきましょう。
ステップ3:コードチェンジの練習
一つのコードがきれいに鳴るようになったら、次は「コードチェンジ」の練習です。曲を演奏する時は、コードからコードへスムーズに移行する必要があります。
メトロノーム(スマートフォンの無料アプリで十分です)を使い、まずはゆっくりテンポ60くらいから始めましょう。4拍ごとにコードを変える練習をします。「ジャーン(C)、2、3、4、ジャーン(G)、2、3、4…」という具合です。
コツは、次のコードの形を「予測」すること。今弾いているコードを鳴らしながら、頭の中では次のコードの指の配置をイメージしておきます。そして、切り替えの瞬間に一気に指を動かします。
また、コードによっては共通する指の位置があります。たとえば、CからAmへの移行では、人差し指の位置はほぼ同じ。こうした「共通点」を意識すると、効率よくコードチェンジできるようになります。
慣れてきたら、手元を見ずにコードチェンジする練習も取り入れましょう。指板を見なくても正しい位置に指が行くようになれば、上達のスピードが一気に上がります。
ステップ4:1曲通して弾いてみる
コードチェンジがある程度できるようになったら、いよいよ曲に挑戦です。「1曲弾ききった」という成功体験は、何よりのモチベーションになります。
最初の1曲は、使うコードが少なくてテンポがゆっくりめの曲を選びましょう。たとえば、スピッツの「空も飛べるはず」のサビ部分は、C、G、Amだけで弾けます。
C(君と出会った)→ G(奇跡が)→ Am(この胸に)→ G(あふれてる)
各コードで「ジャーン」と1回ずつ弾きながら、歌詞に合わせて歌ってみてください。たったこれだけでも、立派な弾き語りの第一歩です。完璧でなくていいので、まずは最後まで通して弾くことを目標にしましょう。
ステップ5:ストロークパターンを覚える
コードを「ジャーン」と鳴らすだけでなく、リズミカルに弾けるようになると、演奏がグッと本格的になります。そのために覚えたいのが「ストロークパターン」です。
まずは基本的な8ビートストロークから始めましょう。ダウン(下方向)とアップ(上方向)を組み合わせた、以下のようなパターンです。
ダウン・アップ・ダウン・アップ・ダウンダウン・アップ
(ジャン・ジャカ・ジャ・カ・ジャンジャッ・カ)
口でリズムを歌いながら練習するのがコツです。最初はアップストロークでピックが弦に引っかかりやすいですが、これは誰もが通る道。手首のスナップを効かせて、力を抜いてリラックスすることを意識してください。
右腕は常に一定のリズムで上下運動を続け、弦に当てない拍は「空振り」をするイメージで。こうすることで、リズムがブレにくくなります。
ギター独学で挫折しないための7つのコツ
練習を継続し、途中で投げ出さないための心構えとテクニックを紹介します。
毎日5分だけ触る
「毎日1時間練習するぞ!」と意気込むと、できなかった日に罪悪感を覚えて、そのままフェードアウトしてしまいがちです。目標は「毎日5分だけギターに触る」で十分。たった5分でも、触らない日を作らないことが習慣化のカギです。
もちろん、5分で終わらずにそのまま30分弾いてしまうこともあるでしょう。それはそれでOK。大事なのは、ハードルを下げて「やらない日をなくす」ことです。
完璧主義を捨てる
最初は音がビビっても、コードチェンジが間に合わなくても、それが普通です。100点を目指すのではなく、昨日の自分より少しでも良くなっていればOKというマインドで臨みましょう。
弾きたい曲を目標に設定する
あなたがギターを始めたいと思ったきっかけになった曲、大好きなアーティストの曲を「最終目標」にしましょう。つらい基礎練習も、その曲を弾くためのステップだと思えば頑張れます。
練習を録音・録画する
自分の演奏を客観的に聴くことは、上達への近道です。1週間前の録音と聴き比べれば、自分では気づかなかった成長を実感できて、大きな自信になります。
小さな目標をたくさん作る
「1曲マスターする」という大きな目標だけでなく、「今日はCコードを1分間きれいに鳴らし続ける」「テンポ80でコードチェンジを成功させる」といった小さなゴールを設定しましょう。クリアするたびに達成感が得られて、ゲーム感覚で続けられます。
指の痛みは成長の証と知る
初心者が必ず経験する指先の痛みは、指の皮膚がギターに対応しようとしている証拠です。数週間もすれば痛みは引き、むしろ指先が硬くなることでクリアな音が出せるようになります。ただし、痛みがひどい時は無理せず休みましょう。
SNSで仲間を見つける
X(旧Twitter)やInstagramで「ギター初心者」「ギター練習中」などのハッシュタグを検索すると、同じように頑張っている仲間がたくさん見つかります。彼らの投稿は励みになりますし、自分の練習動画を投稿すれば応援してもらえることもあります。独学の孤独感を和らげる有効な手段です。
初心者の壁「Fコード」を攻略する方法
多くの初心者の前に立ちはだかる最初の大きな壁、それがFコードです。このコードでつまずいて、ギターを諦めてしまう人も少なくありません。でも、正しいアプローチで取り組めば、必ず乗り越えられます。
なぜFコードは難しいのか
Fコードの難しさは、「セーハ」(バレーとも呼ばれます)というテクニックにあります。これは人差し指1本で複数の弦を同時に押さえる技術のこと。他の指も同時に動かさなければならないため、初心者は混乱しがちです。
段階を踏んで攻略しよう
いきなり完全なFコードに挑む必要はありません。段階的に練習していきましょう。
まずは「Fmaj7(エフメジャーセブンス)」という簡略化されたフォームから始めます。人差し指のセーハを使わず、1弦と2弦だけを押さえる形です。これでも多くの曲で違和感なく使えるので、まずはこの形でFの響きに慣れてください。
次に、セーハの練習に移ります。コツは「力」ではなく「効率」です。人差し指をまっすぐ伸ばすのではなく、親指側の側面を使って押さえる意識を持ちましょう。ネック裏の親指でギュッと挟み込むように力を加えると、てこの原理で少ない力でもしっかり押さえられます。また、肘を少し体に引きつけると、人差し指に力が伝わりやすくなります。
さらに、6本の弦を一度に鳴らそうとせず、分割して練習するのも効果的です。まずセーハだけで1弦と2弦を鳴らす。それができたら中指を加えて3弦を鳴らす。次に薬指と小指を加えて4弦、5弦を鳴らす…という具合に、一つずつ音を足していくと、どこに問題があるかが明確になります。
Fコードの習得には、早い人で数週間、長い人で数ヶ月かかります。焦らず、毎日の練習に少しずつ取り入れていくことが、結果的に一番の近道です。
Fコードの次の壁「Bコード」の攻略法
Fコードを乗り越えても、まだ難関は待っています。特に「Bコード」は、Fコードとはまた違った難しさがあります。
Bコードが難しい理由
Bコードは、2フレットで人差し指のセーハを行いながら、3フレットに薬指、小指、中指の3本を並べて押さえるという、かなり窮屈なフォームが必要です。指を狭い範囲に詰め込む感覚は、Fコードとは別の難しさがあります。
Bコードの練習方法
Bコードも、まずは簡略化されたフォームから入るのがおすすめです。「B7(ビーセブン)」や「Bm7(ビーマイナーセブン)」はセーハなしで押さえられるので、まずはこれらで代用しながら曲を弾けるようにしましょう。
フルフォームに挑戦する際は、Fコードと同様に分割練習が有効です。まず2フレットのセーハだけを練習し、1弦から5弦までがクリアに鳴るようにします。それができたら、他の指を一本ずつ加えていきます。
指のストレッチも大切です。Bコードを押さえるには指の柔軟性が必要なので、練習前に指を広げたり曲げたりするストレッチを行うと、押さえやすくなります。
BコードはFコード以上に習得に時間がかかることもありますが、これが弾けるようになれば、演奏できる曲のレパートリーが大きく広がります。根気強く取り組んでいきましょう。
ギターのメンテナンス基礎知識
ギターを長く良いコンディションで使い続けるために、基本的なメンテナンスについても知っておきましょう。
弦の交換時期と方法
弦は消耗品です。弾いているうちに錆びたり、伸びて音程が不安定になったりするので、定期的な交換が必要です。
交換の目安は、毎日弾く人で2週間~1ヶ月、週に数回程度の人で1~2ヶ月といったところ。「音がこもってきた」「チューニングが合いにくくなった」「弦がザラザラしてきた」と感じたら、交換のサインです。
弦の交換は最初は難しく感じるかもしれませんが、YouTubeなどで「ギター 弦交換」と検索すれば、丁寧に解説した動画がたくさん見つかります。動画を見ながらやれば、初心者でも30分程度でできるようになります。
弾き終わったらクロスで拭く
演奏後のギターには、手の汗や皮脂がついています。そのまま放置すると弦の劣化が早まったり、指板が汚れたりするので、練習後は乾いたクロス(柔らかい布)で軽く拭く習慣をつけましょう。ギター用のクロスは数百円で購入できますし、眼鏡拭きのような柔らかい布でも代用できます。
爪の手入れについて
左手の爪は短く切っておくことが大切です。爪が伸びていると、弦をしっかり押さえられず、音がビビる原因になります。特に指先で弦を押さえるギターでは、爪の長さが演奏に直結します。
一方、右手の爪については好みが分かれます。ピックを使ってストロークする場合は短くても問題ありませんが、アルペジオ(指で一本ずつ弦を弾く奏法)をメインにする場合は、右手の爪を少し伸ばした方が弾きやすいという人もいます。最初のうちは両手とも短く揃えておいて、慣れてきたら自分のスタイルに合わせて調整していくと良いでしょう。
保管環境に注意
ギターは木でできているため、極端な温度変化や湿度に弱いです。直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所は避けましょう。また、冬場は乾燥しすぎると木が割れる原因になることも。長期間弾かない場合は、ケースに入れて湿度調整剤を入れておくと安心です。
自分に合った学習方法を見つける
独学といっても、学び方にはいくつかの選択肢があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合ったスタイルを見つけましょう。
書籍・教本で学ぶ
プロの講師が監修した教本は、基礎から応用まで体系的にまとまっているのが強みです。順を追って学べるので、「次に何を練習すればいいか」で迷いにくいというメリットがあります。
ただし、紙媒体だと指の動きや音のニュアンスがわかりにくいという弱点があります。また、自分のレベルに合った教本を選ぶのが意外と難しく、簡単すぎたり難しすぎたりすることも。
YouTube動画で学ぶ
無料で、しかも動画で実際の指の動きや音を確認できるのが最大の魅力です。「この曲の弾き方」をピンポイントで教えてくれるコンテンツも豊富にあります。
一方で、情報が断片的になりがちで、体系的に学ぶのが難しいという側面もあります。また、動画の質にばらつきがあり、間違った情報を覚えてしまうリスクもゼロではありません。
ギター練習アプリを使う
ゲーム感覚で楽しく練習できるのがアプリの良いところ。チューナーやメトロノーム機能が一体化しているものも多く、便利です。Yousician、GuitarTuna、Songsterrなどが人気です。
ただし、基本的なコードやフレーズの練習には向いていますが、音楽理論や応用テクニックまでカバーしているものは少なめです。
オンライン講座を受講する
教室に通うより安価で、プロのカリキュラムを自宅で学べるのがオンライン講座の魅力です。動画なので何度でも繰り返し見られますし、自分のペースで進められます。
YouTubeと比べると費用がかかりますが、その分、内容が体系的に整理されていて、質の担保がされているという安心感があります。
おすすめの学習ルート
まずはYouTubeや練習アプリで「ギターに触る楽しさ」を体験しましょう。そこで「もっと本格的に上達したい」と思ったら、評価の高い教本やオンライン講座で基礎を固めます。基礎ができたら、またYouTubeで好きな曲の弾き方を探してレパートリーを増やしていく──このハイブリッド型が、現代の独学ギタリストの王道と言えます。
よくある質問
初心者からよく寄せられる疑問にお答えします。
最初に練習するのにおすすめの曲は?
あいみょんの「マリーゴールド」、スピッツの「チェリー」、MONGOL800の「小さな恋のうた」などは、使用コードが比較的少なく、テンポも速すぎないので定番です。ただ、何よりも大切なのは「この曲を弾きたい!」と心から思える曲を選ぶこと。モチベーションが全然違ってきます。
どれくらいで1曲弾けるようになる?
個人差や曲の難易度によるので一概には言えませんが、この記事で紹介したような簡単なコードで構成された曲であれば、真面目に練習すれば1ヶ月程度でつっかえながらも1曲通して弾けるようになるのが一つの目安です。完璧を求めず、まずは「通して弾ける」ことを目指しましょう。
楽譜が読めなくても大丈夫?
大丈夫です。ギターには「TAB譜(タブ譜)」という専用の楽譜があり、五線譜が読めなくても直感的に理解できます。TAB譜は6本の線がギターの6本の弦を表し、数字で「何フレットを押さえるか」を示したもの。慣れれば一目で演奏できるようになります。
手が小さいと不利?
ほとんど関係ありません。世界的に有名なギタリストにも手が小さい人はたくさんいます。どうしても弾きにくさを感じる場合は、ネックが細めのギターや、全体のサイズが少し小さい「ショートスケール」のギターを選ぶという選択肢もあります。最初から諦める必要は全くありません。
独学の限界を感じたらどうする?
ある程度弾けるようになってから「もっと上を目指したい」「自分の癖を直したい」と感じたら、単発のレッスンを受けてみるのも一つの手です。継続的に通わなくても、1回だけプロに見てもらうことで、自分では気づけなかった改善点が見つかることがあります。独学と教室は二者択一ではなく、うまく組み合わせることも可能です。
まとめ
ギターの独学は、決して平坦な道のりではありません。指の痛みに耐え、鳴らない音に悩み、何度も心が折れそうになる瞬間が訪れるでしょう。
でも、この記事で紹介した方法を実践し、一歩ずつ着実に進んでいけば、あなたの指は必ずコードを奏で、メロディを紡ぎ始めます。
才能は必要ありません。必要なのは、「弾けるようになりたい」という気持ちと、ほんの少しの継続だけです。
さあ、まずはギターを手に取り、チューニングを合わせてみてください。そして、Cコードを一つ、鳴らしてみましょう。
その一音が、あなたの日常を少し豊かにする、素晴らしい音楽ライフの始まりの合図です。
