5月の異名といえば「皐月(さつき)」が広く知られていますが、実はそれだけではありません。早苗月、橘月、五月雨月など、5月には季節の風物や農作業を映した別名がたくさん存在します。
この記事では、5月の代表的な異名「皐月」の読み方と由来を中心に、その他の異名も読み方つきの一覧表で整理します。手紙やスピーチで使える実例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
- 5月の異名「皐月」の読み方と意味
- 皐月の由来に関する2つの説
- その他の5月の異名10種類以上を一覧で確認
- 旧暦と新暦のずれと、手紙での使い方
5月の異名「皐月(さつき)」とは?読み方と意味
5月の代表的な異名は「皐月」で、読み方は「さつき」です。旧暦の5月を指す和風月名として、奈良時代から使われてきた歴史ある言葉です。
現在のカレンダーでも5月のことを「皐月」と呼ぶことがあり、人名やツツジ科の花の名前としても親しまれています。
「皐月」の読み方は「さつき」
「皐月」と書いて「さつき」と読みます。「皐」という漢字は日常ではあまり目にしない字ですが、「皐月」という熟語の中ではしっかり定着しています。
同じ「さつき」という音には「五月」「早月」といった別の表記もあります。手紙や和歌の世界では、文脈に合わせて漢字を使い分けてきました。
皐月の意味と漢字に込められた由来
「皐」という字には「神に捧げる稲」「田んぼ」といった意味があるとされます。古代の日本では5月は田植えの時期にあたり、神聖な月とされていました。
つまり「皐月」は単なる5番目の月ではなく、稲作と神事に深く結びついた、季節感のある呼び名なのです。

皐月の由来は2つの説がある
皐月の語源には主に2つの説があります。どちらも田植えに関係しており、結論としては「皐月=田植えの月」というイメージで覚えておくと自然です。
説1:早苗月(さなえづき)が略された
1つ目は「早苗月(さなえづき)」が短く変化して「さつき」になったという説です。早苗とは、田植えに使う若い稲の苗のことを指します。
旧暦の5月は田植えのまっただ中。「早苗を植える月」が縮まって「さつき」になったと考えると、語感の流れも自然です。
説2:「さ」は田植えを意味する古語
2つ目は、古語の「さ」に田植えや耕作の意味があり、「さ」に「月」がついて「さつき」になったという説です。
この「さ」は早苗(さなえ)、早乙女(さおとめ)、五月雨(さみだれ)などにも共通しています。いずれも田植えの季節と結びつく言葉ばかりで、「さ」が農作業の語幹だったことがうかがえます。

「皐月」「早苗」「早乙女」「五月雨」が全部つながっているなんて、昔の言葉って本当に風景が見えますね。
5月のその他の異名一覧(読み方・由来つき)
5月には皐月以外にもたくさんの異名があります。ここでは「季節・自然」「行事・農作業」「漢語由来」の3つに分けて整理します。
季節・自然に由来する異名
5月の風物詩や植物にちなんだ異名です。手紙や俳句で季節感を出したいときに使いやすい呼び名がそろっています。
| 異名 | 読み方 | 由来 |
|---|---|---|
| 早苗月 | さなえづき | 田植えに使う若い稲(早苗)を植える月 |
| 五月雨月 | さみだれづき | 梅雨の長雨「五月雨」が降る月 |
| 橘月 | たちばなづき | 橘(たちばな)の花が咲く月 |
| 菖蒲月 | あやめづき | 菖蒲(あやめ)の花が咲く月 |
| 雨月 | うげつ | 雨の多い月という意味 |
| 月見ず月 | つきみずづき | 梅雨で月が見えない月 |
行事・農作業に由来する異名
田んぼの作業や農村の暮らしと結びついた異名です。皐月の由来とも重なる、稲作文化を映した言葉が並びます。
| 異名 | 読み方 | 由来 |
|---|---|---|
| 田草月 | たぐさづき | 田の草取りをする月 |
| 多草月 | たぐさづき | 草が生い茂る月 |
| 梅月 | ばいげつ | 梅の実が熟す月 |
漢語由来の異名
中国から伝わった呼び名や、十二支・季節区分にもとづく異名です。改まった文章や漢詩の世界で使われます。
| 異名 | 読み方 | 由来 |
|---|---|---|
| 仲夏 | ちゅうか | 夏の真ん中の月(旧暦の夏は4〜6月) |
| 午月 | ごげつ | 十二支で5月にあたる「午(うま)」の月 |
| 榴月 | りゅうげつ | 柘榴(ざくろ)の花が咲く月 |
| 鶉月 | うずらづき | 鶉(うずら)が鳴く月 |


旧暦の5月と現在の5月はどう違う?
5月の異名を使うときに気をつけたいのが、旧暦と新暦のずれです。皐月や五月雨月といった言葉は、本来は旧暦の5月(=今の5月下旬〜7月上旬ごろ)を指していました。
新暦の5月とは1〜2か月ほどずれており、季節感もちょっと変わってきます。
旧暦5月は現在の5月下旬〜7月上旬
旧暦5月は太陰太陽暦にもとづいた月で、現在の暦に当てはめると年によって5月下旬から7月上旬あたりに相当します。ちょうど梅雨入りから梅雨明け前後の時期です。
そのため、皐月の異名にある「五月雨月」「雨月」「月見ず月」といった言葉は、現在の感覚でいう「梅雨の月」を指していたわけです。
異名と季節感のズレに注意
たとえば「五月晴れ(さつきばれ)」という言葉は、本来は梅雨の合間の晴れ間を意味しました。現在は新暦の5月のさわやかな晴天を指して使われることも多く、両方の使い方が定着しています。
古典や時候の挨拶で5月の異名を使うときは、旧暦感覚(初夏〜梅雨)であることを意識すると、表現の選び方を間違えにくくなります。
旧暦の5月は今の5月下旬〜7月上旬ごろ。皐月の異名は「梅雨と田植えの月」のイメージで使うと、季節感のずれを防げます。
5月の異名を使ってみよう(手紙・俳句の例)
5月の異名は、知っているだけで文章に季節感と上品さを添えられる便利な言葉です。手紙の書き出しや俳句の季語として、実際に使ってみましょう。
時候の挨拶での使い方
ビジネス文書や手紙の冒頭に使うと、改まった印象になります。「皐月」を使う場合は、新暦5月のさわやかな時期に合わせて書くのが一般的です。
「橘月の候」「菖蒲月のみぎり」のように他の異名を使うと、より風雅な印象になります。ただし読み手に伝わるかも考えて、相手やシーンに合わせて選びましょう。
俳句・短歌での季語としての使い方
俳句や短歌では、皐月や五月雨が夏の季語として古くから使われてきました。松尾芭蕉の有名な句にも「五月雨」が登場します。
五月雨を集めて早し最上川(松尾芭蕉)
ここでの「五月雨」は梅雨時の長雨を指しています。旧暦の感覚を踏まえると、句のスケール感がより鮮やかに伝わってきますね。
まとめ:5月の異名は日本の季節感を映す豊かな言葉
5月の異名を最後におさらいしておきましょう。
5月の代表的な異名は「皐月(さつき)」で、由来は早苗月(田植えの月)から変化したとする説が有力です。
- 皐月のほかにも、早苗月・五月雨月・橘月・菖蒲月など10種類以上の異名がある
- 旧暦5月は現在の5月下旬〜7月上旬で、梅雨と田植えの季節を映している
- 手紙や俳句で使うと、季節感と上品さを表現できる
普段は「5月」と呼んでいる月にも、これだけ多彩な顔があります。手紙や会話で皐月の異名をひとつ取り入れてみると、日本の季節を感じる楽しさがぐっと広がりますよ。









