卑屈とは?意味・読み方と「謙虚」との違いを例文で解説

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「そんな卑屈にならなくてもいいのに」と言われて、少し引っかかった経験はありませんか。

謙遜したつもりだったのに、なぜか相手を困らせてしまう。そんなとき、その態度は「卑屈」と受け取られているのかもしれません。

この記事では、卑屈の意味と読み方を辞書の定義にそって整理します。さらに、多くの人がつまずく「謙虚」「謙遜」との違いを、例文と比較表でわかりやすく解説します。

卑屈とは、必要以上に自分を低く見て、いじけたりへつらったりすること。「謙虚」との最大の違いは、自分を認めているかどうかにあります。

目次

卑屈とは?意味と読み方をわかりやすく解説

卑屈とは、いじけて必要以上に自分をいやしめることを指す言葉です。自分に自信が持てず、他人にへつらうような態度をとる様子も含みます。

うつむいて肩を落とす人と、その隣で困った表情を浮かべる人のイメージ

「卑屈」の読み方は「ひくつ」

卑屈の読み方は「ひくつ」です。「卑」を「ひ」、「屈」を「くつ」と読みます。

「ひくつ」と読めれば十分ですが、「卑」の字は「卑怯(ひきょう)」「卑下(ひげ)」などにも使われます。あわせて覚えておくと読み間違いを防げます。

卑屈の意味は「必要以上に自分を低く見て、いじけること」

辞書では、卑屈は「いじけて必要以上に自分をいやしめること。また、そのさま」と説明されています(『デジタル大辞泉』)。

ポイントは「必要以上に」という部分にあります。単に控えめなだけなら卑屈とは呼びません。適切な範囲を超えて自分を下げ、その結果として態度がいじけて見える状態が卑屈です。

また、自分を低く置くことで相手のご機嫌をうかがう、へつらうようなニュアンスも含みます。そのため、周囲には「見ていて気持ちのいい態度ではない」と映りがちです。

卑屈の意味を3つに分けると
  • 必要以上に自分を低く評価している
  • その気持ちがいじけた態度としてあらわれている
  • 相手にへつらう、こびるような振る舞いになる

「卑」と「屈」の漢字が表すもの

漢字の成り立ちを見ると、卑屈という言葉のイメージがつかみやすくなります。

「卑」は、身分や地位が低いこと、いやしいことを表す字です。「卑近」「卑下」のように、低さや下方向のニュアンスで使われます。

一方の「屈」は、かがむ、折れ曲がる、心がくじけるといった意味を持つ字です。「屈服」「屈託」などが代表例といえるでしょう。

つまり卑屈は、自分を低いところに置き、心が折れ曲がった状態を表した言葉です。字面からも、前向きな意味では使われないことが読み取れます。

漢字主な意味使われる熟語
低い、いやしい卑下・卑近・卑怯
かがむ、くじける屈服・屈託・不撓不屈

卑屈の使い方と例文

卑屈は「卑屈になる」「卑屈な○○」という形で使われることがほとんどです。人の態度・表情・考え方を評する言葉として登場します。

「卑屈になる」の使い方

もっともよく使われるのが「卑屈になる」という形です。ある出来事をきっかけに、自分を低く見る状態へ変化したことを表します。

  • 大きな失敗が続いて、彼はすっかり卑屈になってしまった。
  • そんなに卑屈にならなくても、あなたの仕事はきちんと評価されています。
  • 断られたくらいで卑屈になる必要はありませんよ。

「卑屈になるな」という形で、励ましや忠告として使われる場面も少なくありません。

「卑屈な態度」「卑屈な笑い」の使い方

名詞を修飾する形では、「卑屈な態度」「卑屈な笑い」「卑屈な考え方」などがよく登場します。

  • 取引先の前でだけ見せる卑屈な態度が、後輩には不思議に映るようだ。
  • 彼は叱られるたびに卑屈な笑いを浮かべ、その場をやり過ごそうとする。
  • どうせ自分には無理だという卑屈な考え方から、まず抜け出したい。

「卑屈な笑い」は、心から笑っているのではなく、相手の機嫌をうかがうための愛想笑いを指します。表情そのものを評する使い方です。

卑屈は基本的にマイナスの意味で使う言葉

卑屈は、ほぼ例外なくマイナスの評価を伴います。「謙虚」のように褒め言葉として使うことはできません。

そのため、目の前の相手に対して「卑屈ですね」と直接言うのは、かなり強い批判になります。使いどころには注意が必要です。

自分について「卑屈になっていたかもしれません」と振り返る形なら角が立ちません。他人を評する場合は慎重に使いましょう。

卑屈と謙虚・謙遜の違い

卑屈と謙虚・謙遜の違いは、自分自身をどう評価しているかにあります。どれも自分を低く置く点は共通していますが、その動機がまったく異なります。

同じおじぎでも印象が違う2人を並べた対比イメージ

謙虚との違いは「自分を認めているかどうか」

謙虚とは、自分の能力や立場をわきまえ、控えめに振る舞うことです。ここで大切なのは、謙虚な人は自分の価値をきちんと認めているという点にあります。

自分を認めたうえで、あえて前に出ない。だからこそ、態度は控えめでも心の姿勢は堂々としています。

一方の卑屈は、自分の価値を認められないところから始まります。「どうせ自分なんて」という否定が先にあるため、控えめというよりいじけた印象になってしまうのです。

謙遜との違いは「相手を立てる意図があるかどうか」

謙遜は、へりくだって相手を立てる言動を指します。褒められたときに「とんでもないです」と返すのは、相手への配慮から出た振る舞いです。

謙遜の視線は相手に向いています。相手が気持ちよくいられるように、自分を一歩引かせるわけです。

これに対して卑屈は、視線が自分に向いています。傷つきたくない、否定されたくないという気持ちが先に立つため、結果として相手への配慮が抜け落ちてしまいます。

言葉自分への評価視線の向き周囲の印象
謙虚認めている自分と相手の両方好ましい
謙遜認めている主に相手好ましい
卑屈認められていない主に自分気をつかわせる

同じセリフでも卑屈に聞こえる言い方・聞こえない言い方

興味深いことに、まったく同じ場面でも、言い方ひとつで謙虚にも卑屈にも聞こえます。褒められたときの返答で比べてみましょう。

場面謙虚に聞こえる返し卑屈に聞こえる返し
資料を褒められたありがとうございます。〇〇さんの助言のおかげです。いえ、自分なんかの資料で……すみません。
仕事を任された力不足かもしれませんが、精一杯やってみます。どうせ私では無理だと思いますけど。
ミスを指摘されたご指摘ありがとうございます。すぐ直します。やっぱり自分はダメですね。本当にすみません。

違いは、感謝や次の行動につながっているかという一点です。自分を下げたまま話が終わると卑屈に、感謝や前向きな言葉が続くと謙虚に聞こえます。

卑屈に見えるかどうかは、性格そのものより「言葉の締めくくり方」で決まる場面が多くあります。

卑屈と似た言葉・言い換え表現

卑屈の周辺には、意味の近い言葉がいくつもあります。それぞれのニュアンス差をつかんでおくと、文章での使い分けがしやすくなります。

卑下・自虐との違い

卑下(ひげ)は、自分をいやしめて低く扱うことです。卑屈とかなり近いのですが、卑下は「自分を低く言う行為そのもの」を指します。

それに対して卑屈は、行為だけでなく、いじけた心の状態や態度全体を含む言葉です。卑下が続いた結果として卑屈な印象になる、と整理するとわかりやすいでしょう。

自虐は、自分で自分を責めたり、笑いのネタにしたりすることを指します。明るい調子で使われる場面もあり、必ずしもいじけた響きを伴いません。

卑下は行為、卑屈は状態や態度、自虐は自分を責める・ネタにする言動。近い言葉ですが、指している範囲が少しずつ違います。

卑屈の言い換え・類語一覧

文章で言葉が重なるときは、次のような表現に置き換えられます。

言い換えニュアンス
いじける拗ねた気持ちが前面に出る
自分を卑下する自分を低く言う行為に焦点
へりくだる低い姿勢をとる。文脈次第で肯定的にもなる
こびへつらう相手の機嫌をとる態度が強い
自信をなくすやわらかく、批判色が薄い

相手に配慮した言い方をしたい場面では、「自信をなくしているようだ」と表現すると角が立ちません。

卑屈の対義語は「傲慢」「尊大」

卑屈の対義語としてよく挙げられるのが「傲慢(ごうまん)」と「尊大(そんだい)」です。どちらも自分を実際より高く見て、相手を見下す態度を指します。

卑屈が「自分を低く見すぎる」なら、傲慢や尊大は「自分を高く見すぎる」状態といえます。ちょうど正反対の位置にある言葉です。

ちなみに「謙虚」は卑屈の対義語ではありません。謙虚と卑屈はどちらも自分を低く置く点で同じ方向にあり、違うのは自己評価のあり方だからです。

卑屈な言動に見えてしまう5つのパターン

本人にそのつもりがなくても、周囲から卑屈に見えてしまう言動があります。よくある5つのパターンを見ていきましょう。

ここで挙げるのは、あくまで「そう受け取られやすい言い回し」の例です。性格の良し悪しを判定するものではありません。

褒められても「そんなことないです」で終わらせる

(1) 褒め言葉をすべて否定して終える返し方です。

謙遜のつもりでも、否定だけで会話が止まると、褒めた側は行き場をなくします。「ありがとうございます」を一言添えるだけで、印象は大きく変わります。

頼まれごとに過剰に謝ってしまう

(2) 頼まれた場面や指摘された場面で、必要以上に謝る言い方です。

「すみません」を重ねるほど、相手は「そこまで恐縮させたかったわけではないのに」と感じてしまいます。謝罪の代わりに感謝を伝えると、やり取りが軽やかになります。

先回りして自分を下げてしまう

(3) 何かを始める前に「どうせ自分には無理ですけど」と予防線を張るパターンです。

傷つくのを避けたい気持ちからの言葉ですが、聞く側には後ろ向きな宣言として届きます。

(4) 相手の評価を素直に受け取らず、「お世辞ですよね」と疑ってしまう返し方も同じ系統です。

(5) 自分の意見を求められたときに「自分なんかが言うことでは」と切り出すのも、卑屈な印象につながりやすい言い回しといえます。

言い換えのコツ
  • 「すみません」を「ありがとうございます」に置き換える
  • 否定で終わらせず、次の行動をひとこと添える
  • 予防線は張らず、まず「やってみます」と返す

よくある質問

卑屈と謙虚は、結局どこで見分ければいいですか?

自分の価値を認めたうえで控えめにしているなら謙虚、認められないまま自分を下げているなら卑屈です。会話では、感謝や次の行動が続くかどうかが目安になります。

「卑屈」は目上の人にも使えますか?

卑屈はマイナス評価の言葉なので、目上の人に向けて使うのは避けたほうが無難です。自分自身を振り返る表現として使うのが安全です。

卑屈は英語でどう表現しますか?

文脈によりますが、へつらう意味では servile や obsequious、自分を卑下する意味では self-deprecating がよく使われます。

卑屈と卑怯は同じ意味ですか?

別の言葉です。卑屈は自分を低く見る態度、卑怯は正々堂々としていない振る舞いを指します。漢字が似ているだけで、意味は重なりません。

卑屈とは何かのまとめ

卑屈(ひくつ)とは、いじけて必要以上に自分をいやしめることを指す言葉でした。最後に要点を整理しておきます。

  • 読み方は「ひくつ」。「卑」は低い、「屈」はくじけるを表す
  • 「卑屈になる」「卑屈な態度」の形で使い、常にマイナス評価を伴う
  • 謙虚との違いは、自分の価値を認めているかどうか
  • 謙遜との違いは、相手を立てる意図があるかどうか
  • 対義語は「傲慢」「尊大」。謙虚は対義語ではない

同じように自分を低く置く言葉でも、謙虚や謙遜は好ましく受け取られ、卑屈は相手に気をつかわせてしまいます。その分かれ目は、自分を認めたうえでの控えめさかどうかにあります。

「どうせ自分なんて」で終わらせず、感謝や次の一歩をひとこと添える。それだけで、同じ控えめさでも受け取られ方は変わっていきます。

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