二枚舌とは?意味をわかりやすく解説
二枚舌(にまいじた)とは、前に言ったことと矛盾するうそをつくことを意味する言葉です。相手や場面によって言うことを変え、都合よく立ち回る行為を指します。
ポイントは「意図的にうそをつく」という点にあります。うっかり間違えてしまった場合や、相手を傷つけまいとして本音を隠した場合には使いません。あくまで自分の利益や保身のために、わざと矛盾した発言をすることが二枚舌の本質です。

「あの人は二枚舌だ」と言われたら、かなり強い非難の言葉になりますね。
まるで舌が二枚あるかのように、場面ごとに違う話をする――そんな不誠実さを鮮やかに表現した慣用句です。
二枚舌の読み方と基本的な意味
読み方は「にまいじた」です。「にまいした」と濁らずに読むのは誤りなので注意しましょう。
辞書的な意味は「矛盾したことを言うこと。うそをつくこと」です。特に、ある人にはAと言い、別の人にはBと言うように、相手によって話の内容を変えるケースで使われます。
二枚舌は「意図的なうそ」がポイント
二枚舌と単なるうそには、明確な違いがあります。
- 二枚舌:自分の都合に合わせて、意図的に矛盾した発言をする
- 単なるうそ:事実と異なることを言う(意図の有無は問わない)
- 勘違い・記憶違い:悪意なく結果的に矛盾が生じたもの
つまり、二枚舌には「計算して使い分けている」という悪意が含まれています。本人に自覚がないまま矛盾してしまうケースは、二枚舌とは呼びません。


二枚舌の由来と語源
二枚舌の語源は、仏教用語の「両舌(りょうぜつ)」にあります。日本語ならではの比喩表現とも結びついた、歴史ある言葉です。
仏教用語「両舌」が語源
仏教には「十悪(じゅうあく)」と呼ばれる10種類の罪があります。両舌はそのうち「口による罪」の一つで、それぞれの相手に異なることを伝えて仲たがいさせる行為を指します。
両舌の「両」は「二つ」を意味し、これが日本語で「二枚」と言い換えられました。舌が二枚あれば、同時に違うことが言えるという発想です。
「舌が二枚ある」という比喩表現
人間の舌は当然一枚しかありません。しかし、まるで二枚の舌を持っているかのように正反対のことを話す様子から、この表現が生まれました。
英語にも「speak with a forked tongue(割れた舌で話す)」という似た表現があります。ヘビの舌先が二股に分かれている様子から来ており、洋の東西を問わず「舌」と「うそ」のイメージが結びついているのは興味深いところです。
二枚舌の使い方と例文
二枚舌は日常会話からビジネスシーンまで幅広く使える言葉です。ただし、強い非難のニュアンスがあるため、使う場面には注意が必要です。
日常会話での使い方
日常では、身近な人の矛盾した言動を指摘するときに使われます。
- 「彼は私には『賛成だ』と言い、別の人には『反対だ』と言っていた。まさに二枚舌だ」
- 「あの人の話は二枚舌が多いから、鵜呑みにしないほうがいい」
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスの場面では、取引先や上司の矛盾した発言を表現するときに使います。ただし、直接本人に言うには強すぎる言葉です。
- 「A社には値引きすると言い、B社には定価だと説明するのは二枚舌ではないか」
- 「政治家の二枚舌に、有権者の不信感が高まっている」
「二枚舌を使う」の例文
「二枚舌を使う」は最もよく見る言い回しです。実際の使い方を見てみましょう。
- 「両方の顔色をうかがって二枚舌を使うのは、信頼を失うだけだ」
- 「交渉の場で二枚舌を使えば、いずれ相手にも見抜かれる」
- 「二枚舌を使う人とは、深い関係を築くのが難しい」
二枚舌は相手を強く非難する言葉です。冗談でも本人の前で使うとトラブルになりかねないので、使いどころには気を配りましょう。
二枚舌の類語・言い換え表現
二枚舌と似た意味を持つ言葉はいくつもあります。それぞれの微妙なニュアンスの違いを押さえておくと、表現の幅が広がります。
舌先三寸・口先三寸
「舌先三寸(したさきさんずん)」は、口先だけの巧みな弁舌で相手を丸め込むことを意味します。二枚舌が「矛盾した発言」に焦点を当てているのに対し、舌先三寸は「言葉巧みにだます」ことに重点があります。
なお「口先三寸」は誤用で、正しくは「舌先三寸」です。混同しないよう注意しましょう。
表裏がある・裏表がある
「表裏がある」は、人前での態度と本心が異なる人を表す言葉です。二枚舌が発言の矛盾を指すのに対し、表裏があるは態度や行動全般の不一致を意味します。
「腹黒い」「猫をかぶる」なども近い表現ですが、いずれも二枚舌ほど「発言の矛盾」に特化していません。
- 二枚舌:相手によって矛盾したことを言う
- 舌先三寸:口先だけで巧みに丸め込む
- 表裏がある:態度と本心が一致しない
- 腹黒い:表面上は善人だが内心に悪意がある
ダブルスタンダードとの違い
「ダブルスタンダード(ダブスタ)」は、対象によって異なる基準を使い分けることを意味します。一見すると二枚舌と似ていますが、焦点が異なります。
- 二枚舌:同じ事柄について矛盾した発言をする(うそが核心)
- ダブルスタンダード:相手や状況によって判断基準を変える(不公平が核心)
たとえば、部下のミスは厳しく叱るのに自分のミスには甘い上司は「ダブルスタンダード」です。一方、部下に「応援しているよ」と言いながら上層部には「あいつは使えない」と報告するのは「二枚舌」になります。


二枚舌の対義語
二枚舌の反対にあたる言葉を知ることで、この言葉の意味がより明確になります。いずれも「言動に一貫性がある」ことを表す表現です。
一言一行・言行一致
「言行一致(げんこういっち)」は、言うことと行動が一致していることを意味します。二枚舌の正反対にあたる表現で、信頼できる人物を形容するときに使われます。
似た言葉に「首尾一貫(しゅびいっかん)」もあります。こちらは始めから終わりまで態度や主張が変わらないことを指し、発言の一貫性を強調する場面で使えます。
有言実行
「有言実行(ゆうげんじっこう)」は、口にしたことを必ず実行に移すことです。二枚舌のように言葉を使い分けるのではなく、一つの発言を行動で裏付ける姿勢を表しています。
二枚舌の対義語はいずれも「言葉と行動の一致」がテーマです。「言行一致」「有言実行」「首尾一貫」を覚えておくと、対比的に使えて便利です。


二枚舌の英語表現
英語にも二枚舌に相当する表現がいくつかあります。どれも「うそつき」「不誠実」というニュアンスを持った言い回しです。
double-tongued・two-faced の使い分け
代表的な英語表現は次の3つです。
- double-tongued:二枚舌の直訳に最も近い表現。矛盾した発言をする人を指す
- two-faced:「二つの顔を持つ」という意味で、裏表がある人を広く表す
- speak with a forked tongue:「割れた舌で話す」。ヘビの舌の比喩で、うそをつくことを意味する
日常会話で最もよく使われるのは「two-faced」です。「double-tongued」はやや文語的で、「forked tongue」は文学的・歴史的な場面で使われる傾向があります。
英語の例文
- He is so two-faced that nobody trusts him.(彼は裏表がありすぎて、誰も信用していない)
- Don’t speak with a forked tongue.(二枚舌を使うな)



英語でも日本語でも、舌や顔の比喩で「うそつき」を表すのは共通していて面白いですね。
まとめ
二枚舌とは、自分の都合に合わせて意図的に矛盾した発言をすることを指す慣用句です。最後にポイントを振り返りましょう。
- 二枚舌の意味:相手や場面によって矛盾したことを言うこと
- 由来:仏教用語「両舌(りょうぜつ)」が語源
- ポイント:意図的なうそである点が重要(勘違いには使わない)
- 類語:舌先三寸・表裏がある(ニュアンスに違いあり)
- ダブルスタンダードとの違い:二枚舌は「うそ」、ダブスタは「不公平な基準」
- 対義語:言行一致・有言実行・首尾一貫
- 英語:two-faced / double-tongued / speak with a forked tongue
二枚舌は強い非難のニュアンスを含む言葉です。意味と使いどころを正しく理解して、ここぞという場面で使いこなしてみてください。







